2012.09.24 Monday 00:05

納品情報





先の土曜に吉祥寺匣ノ匣さまに納品をしてきました。

2パターンの商品郡です。

耳のモチーフを使ったシリーズは
親しい人の耳をとる、という少し奇妙な話をテーマに製作しました。
樹脂で製作した立体の耳と、板に柄を印刷した平たいタイプがあります。
お話については、下に仕舞わせていただいております。
作中にある真珠の展示会、モデルにしたものが実はまだやっています。
ものはもちろん、ディスプレイがやたらいいので、涼しくなってきましたしおすすめです。

モアレパターンのブローチたちはスクリーントーンを使っています。
スクリーントーンというのは、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが
漫画のグレーに見えるテンテンのところを表現するために貼る半透明のシールです。

いつの時代も漫画家というのは子供のあこがれの職業の一つである気がしますが
私が子供の頃もその風潮はありまして、その憧れの具現化の一つとして
スクリーントーンがあったとおもっております。
小遣いで買うには高い画材ではありますので、なかなか手に入るものでもなく
あれを使えば、作家さんのようにすてきな絵をかける、
と思わせてくれるようなところもすこしありました。
(もちろん、そんなことはないですが)

しかし最近では、プロ、アマチュア問わず、パソコンでマンガを作るようになり
スクリーントーンはあまり使われない存在になりつつあるようです。
もちろん、いくらシンセサイザーが発達しても、ピアノがなくならないように
これからもあり続けるのでしょうが、今後は生まれてきて一番最初に触る画材がパソコンで
スクリーントーンなど存在も知らないようなマンガ家さんも、きっとでてくるのではないかなあと思ったのです。

まあそれはマンガだけではなくて、CADでしか描かないパタンナーや
3Dプリンターでの出力がメインのアクセサリー作家
PCでしか作曲をしないミュージシャンも、もしかするともう居るのかもしれません。
もちろん私にだって、使い方の解からない50年前や100年前の道具なんて沢山あるわけで。

というわけで、100年後にオタクのご先祖さまの持ち物のスクリーントーンを見つけた子供が
なんに使うかわからないまま、アクセサリーに仕立ててる。というイメージをこれについては持っています。
このシリーズについては当分少しづつ作っていこうと思います。色つきとか。

耳モチーフのほうのコンセプトについては以下で↓




あのこが倒れたのに、一番最初に気がついたのはぼくだったからすこしだけ時間があった。
脈はなし、瞳孔は開きっぱなし。叩いても殴っても反応はないので、あ、こりゃあ死んでるなって思って、
でも今死なれても困るなーってだってまだもう少し先まで一緒に生きていくつもりだったから。

でも死んじゃったんなら仕方ないしまあこれはなにか思い出というか、
「よすが」とやらでも貰いたいなあってそんなことを考えて。
でもあのこあまり物を持たない性質だったじゃない、
良い物の一つもなかったものだからとりあえず左の耳でも貰おうと思って。
耳って案外あんなふうにパズルのピースでも外すように剥がれるものなんだね、知らなかったよ。
あのこの体の方は早々と埋葬をされてしまったけれど剥がした方は白々としてすべすべとして
なかなかすてきなヨスガになったよ。
標本箱のようなちいさい小箱にいれてみても良いし書類が増えた時の重石にもなるし
ぼくは結構満足したというわけだ。

ふとした出来心でぼく自身の耳をそれで塞いで、二枚貝のようにあわせて見たところ、
どうしてか波の音がするのも気に入った。
ただ、死してもあのこがぼくの心音をわずらわしいと思うこともあるだろうから、
耳の穴には程よい真珠を詰めておいたよ。
そういえば昔あのこと二人で真珠の展覧会を美術館に見に行ったとき、
真珠とは病める貝の嘆きだなんて格好をつけて言ったけど、なんてことはない、
あれはかさぶたのような自衛の作用なのだね。

虫やなにやら入ったものは真珠に包まれて溶けて消えてしまうから、天然の真珠の中は空洞なんだって。
不思議だね、驚くべきことだね。
巻貝から出てきた金色の真珠やピンク色の貝から出てきたピンク色の真珠も見たね。
ひとの耳の中にも巻いた管があるらしいから、それも取っておけばよかったと思ったよ。
真珠がでてくるかも知れなかったじゃないか。何色のが出てきただろうね。青かな紫かな緑かな、
あのこは本当に寒色ってかんじだったもの。
黒の真珠ではないのは決まりだな。
それとも透明かもしれないね。中の空洞に光が射してさ、不思議な影を描きそうだ。

でもぼくも人間だから、しばらく時間が経つと箱の中を覗くこともあまりしなくなっていったんだ。
薄情なものだよね。本当に悪いと思っているけど、そういうことである日あのこの耳に
剥がさなかったはずの右耳がくっついているのを見つけたときにはもう遅かったのさ。
右耳と左耳で蝶のようにパタパタと羽ばたいて、
上昇上昇下降上昇下降下降という感じで無軌道に飛び上がって、
開いていた窓から飛んでいってしまったんだ。

だからぼくはいま本当に一人なんだよ。君が死んだ後ぼくに耳をくれてもいいっていうなら別だけどさ

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